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こちらは私こと“しょうたろう”が、これまでに先人から学んだものの中から特に後進に伝えたいと感じた物事について振り返る回顧録となっております。

折を見てページを増やす予定ですので、暇つぶしにご覧ください

​“丁寧な仕事”

これだけは後世に伝えたいと、回顧録の第一弾として選出したのがこの『丁寧な仕事』という考え方です

この言葉は当薬局でも私たちが目指すべき仕事の“質”を一言で表す言葉として運用していますが、

元を辿れば私が薬局を開設する以前に勤務しておりました株式会社ポプリの代表であり薬局運営の師でもある

伊村泰子氏からの引用となっています
 

今から10年以上前、ここ京都に“薬剤師としての仕事を改めて学び直したい”とやってきた私を待ち受けていたのは

「山口君、さっきの(仕事)は丁寧ではなかったね」​とのダメだしでした

その後もどうにかして自分を認めてもらいたい一心でガムシャラに働こうとも

「丁寧ではないね」「丁寧だったかな?」と中々認められることはありませんでした

 

それでも引き下がるわけにはいかなかったので【何が丁寧で何が丁寧でないの?】と自問自答を繰り返し、また

【どうすれば丁寧な仕事ができるようになるのですか?】と先輩同輩に教えを乞う様になると、

気付けば師からのダメ出しは激減していました

そうこうするうちに薬局を自ら設立する機会を得て独立へと進むこととなりますが、

おそらくは最後まで「これは丁寧に出来たね」と認めていただけたことは無かったかもしれません

でも、それで良かったのだと思います

最も重要なのは、自分が何を以て丁寧さとするかを自分で考えて試行錯誤することにあったのだと振り返っています

本当はここで終わりにするのがかっこいい締め方ですが、

せっかくなのでここ10年間ほど考えて来た丁寧な仕事の正体を蛇足ながら書き出していきます

 

丁寧な仕事、一言で言ってしまえばそれは【自分自身に勝利した仕事】であると考えています

私たち人間は、絶えず無数の欲に曝されています

医療従事者とて例外ではありません

私たちが行う調剤の仕事は一つ間違えば重大な事故となりえるため、その防止策として手順の一つ一つに細かなルールが設けられています

しかしそのルールを運用する医療従事者もまたヒトである以上、意図せずしてルールから逸脱してしまうことが往々にしてあります

「ついうっかりしてしまった」

「誰かが確認するだろうと思っていた」

実際にそんな理由なき理由で医療事故で人が亡くなっています

そういった心の弱さに負けることなく、然るべき手順を踏まえて仕事をすることは実は簡単なことではありません

また単に手順を守るだけではなく

『どうしてもこれだけは確認しなければならない』

『もしも私の思い過ごしであれば私が笑われるだけでいい』

と、一歩踏み込んでいくこと、それが丁寧な仕事の一つであると考えています

この他にも、『本当にあのやり方で良かったのだろうか』と自身の仕事を振り返ることや

『相手が本当に求めてることは何なんだろう?』と相手の身になって考えて行うこと、

それらもまた丁寧な仕事として、患者さんの安全を守り、自分をより高めてくれるのではないかと思います

ただし、これらはあくまでも“私にとっての丁寧な仕事”に過ぎないようです

もしも私が職権を行使して誰かに「こういう仕事をやってください」と指示してそれを遂行していただいても

それは必ずしも丁寧な仕事になりえないということが最近分かってきました

 

各々が持つ責任感や他者への配慮の形の数だけ、丁寧な仕事は存在するのかもしれません

 

わたしがポプリで何かに気づけたように、

当薬局もまた、誰かが“自分にとっての丁寧な仕事”を発見できる場所でありたいと思います

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